英会話上達のコツ

2011/04/26
英会話に筋書きはない

最近、仕事を通して知り合った方で、有名な英会話スクールに通っているという方がおられました。最近の英会話スクールってどんな様子なのか、興味津々のモモスケ。色々お話しを伺ったのですが、ちょっと気になることがありました。

 

お話しを聞かせてくれたのは、40代の聡明な女性なのですが、ナント聡明なことが災いしてか、随分ジレンマを感じている様子です。というのもこの女性の会話に対する基本的考えに

 

「人間の会話に筋書きはないっ!」

 

というのが芯にあるようなのですが、それを半ば強引に筋書きに収めようとする英会話スクールの教え方に、どうも納得されていないご様子です。

 

 

「なぜ先生は教科書に載っている答えを求めるの?教科書には一例が書いてあるけれど、私がその答え方をする必要があるのかしら?」

 

授業中は常にそう感じているそうです。「だって『あなたは毎日会社に行きますか?』っていう質問に対して、なぜ『はい。私は毎日会社に行きます。』って答えなくちゃいけないの?私は、『行きたくないけど仕方ないからね。』と答えたいのよ。」なるほど!素直な心の叫びです。

 

初級の彼女がそのセリフが言えるかどうかはわかりませんが、確かに彼女の気持ちもよく分かります。自分の答え方まで、教科書に指図されてたまるか!って感じです。でもお話を聞く限り、この先生はどうやら教科書通りの、「パターン化された練習法」で英語を教えたいようです。

 

 

このように「こう聞かれたら、こう答える」というスタイルの練習法は、【オーディオリンガルメソッド】といって、ちょっと古いスタイルの教え方です。

 

 

"How are you?"

 

と聞かれたら

 

"I'm fine, thank you. And you?"    

 

と答えるようなスタイルで、風邪で熱があっても、骨折して泣きそうでも I'm fine.と答えてしまう英語出来ない人間を量産した学習法として、有名になった練習法です。もちろんモモスケが始めて英語を習った当時は、このやり方だったのを覚えています。みなさんもそうですか?

 

しかしこの彼女のように、「会話に筋書きなんて無い!自分の言いたいことを言うんだ!」と言う考え方を持つタイプには、こんな学習法は通用しません。

 

そこで登場したのが、【コミュニカティヴ・アプローチ】という学習法です。コミュニカティヴ・アプローチというのは、読んで字のごとく、コミュニケーションを重視した指導方法のことで、今はこっちが主流の教え方。正確な文型や文法で話すことよりも、多少間違えたり文法がおかしくても自分の【意志】が相手に伝わることがより重要だとする教授法なので、文法ミスをチクチク指摘するのではなく、このような状況ではどう話せば相手に伝わるか、を生徒に指導する教授法のことです。

 

もちろん英語教育に携わる人ならば、このような教授法は知っていて当然なのですが、残念ながら英会話スクールの先生の一部には、未だに経験だけで英語を教えているタイプもおられるようです。

 

この彼女を担当している先生もそんなタイプの様子です。

 

「3単現のsを忘れているので、もう一度!」

「過去形の質問なのに、なぜ現在形で答えの?」

 

と完璧を求め、ミスをする度に次々と注意をすることが大好きとのこと。そんなことが繰り返される度に、彼女もだんだんと間違いを恐れ、発言するのが嫌になってきたそうです。

 

「もちろん英語が出来ないから私が生徒なんだけど、歳は私よりも遙かに下なのよ。そんな若い先生からあれこれ間違いを指摘されると、何だか居心地が悪くて…」

 

お金がもったいないので、もちろんスクールには通い続けているそうですが、スクールのスタッフと相談して、なるべく自由に話させてくれる先生からレッスンを受けるようにしているとのことでした。

 

 

英語を話せるようになりたい!という【動機】もあって、職場から近くて通いやすい、きれいなスクールという【環境】までそろっていたのですが、残念ながら、楽しく長く学ぶという【方法】が、一人の先生のやり方によって崩れてしまったようです。

 

英語でも日本語でも、会話はコミュニケーションです。 コミュニケーションは、自分の思ったり感じたりしたことを、相手に伝えることです。そしてその伝え方は、その人の考え方や個性で大きく変化していくわけで、決して特定のパターン化された例の中だけで完結するものではないはずです。

 

Have you ever seen a panda? と聞かれ

No, I haven't.

 

だけが答えな訳がありません。彼女のように

 

「ねえパンダ見たことある?」

「えー、私動物嫌いなのよね~」

 

そんな答えのほうが、より自然で個性的なコミュニケーションなのかもしれません。

次は「中学校の英語の授業数」

  • 初級編
  • 中級編
ページトップへ