英会話上達のコツ

2007/06/24
小学校の英語教育を知る

土曜日の昨日、日本英語音声学会の関東支部研究大会に参加して来ました。

 

読者の皆様にお馴染みの、松山大学の金森強先生の特別講演があったので、猛暑の中、早稲田大学まで出かけておりました。金森先生は、お隣の韓国と比較しながらの日本の英語教育に関して

 

『小学校における英語教育の限界と可能性』

 

をテーマにお話しされていました。一部ですが、ちょっとご紹介しますね。

 

 

韓国では『小学生が英語教育の最適開始時期である』との考えから、1982年から、英語教育に力を入れ始めているそうです。

 

小学3年生 ヒアリング教育

小学4年生 ヒアリング + リーディング + 会話教育

小学5年生 ヒアリング + リーディング + 会話 + 書き取り教育

 

と、学年ごとに重点項目を設定し、中学入学前に『英語に興味を持ち、基礎的な英語を理解し表現できる能力を育てる』ことを目標にした教育を徹底しているとのこと。小学3年生と4年生の2年間で、1週間に1時間の『英語』の授業を実施し450語のボキャブラリー習得を目指しているそうです。

 

 

 

 

スゴイですね~!!ここで注目すべきは、小学3年生当初に『ヒアリング』から始めている!という点です。

 

言葉には『話し言葉』(音声言語)と『書き言葉』(文字言語)の二つがありますが、言語習得には『話し言葉』(音声言語)から始めることが、上達の秘訣であることは、このメルマガでも何度もお伝えしてきました。【教科書で英語を学んだ】世代の方には、『話し言葉』から英語を身につけることに違和感があるようですが、今やこれは言語習得の常識となっています。

 

小学4年生の重点項目を見ても、『リーディング』『会話』教育という、これまた『話し言葉』中心の英語教育であり、『書き言葉』に関しては、小学5年生になってようやく重点に加わっている状況。

 

点線で書かれたアルファベットをなぞる!ことから始まったモモスケ世代の日本の英語教育とは大きく異なります。韓国の指針は『音声言語中心の指導を行ない、音声言語能力を観察・評価する。音声言語使用能力育成であることを明確にする。』とのことです。

 

これを受けソウル市内の学校教員2万3000人のうち、のべ2万9824人が60時間×6ヶ月の集中英語研修を受けているとのこと。(のべ人数ですが、1人1回以上の研修を受けている計算です。)韓国…なかなかやりますね…。

 

しかし韓国はもちろん、日本も同様とのことですが、音声教育を進める上で一番大切なこと = コミュニケーションが取れること、と言う点に関してはまだまだ改善の必要があるようです。

 

金森先生、こんなお話しをされていました。

 

 

とある日本の小学校での英語音声教育を視察した際の出来事。クラスの生徒が金森先生に英語で質問し英語で答える演習を実施。指名された一人の生徒がダダダッっと金森先生のもとに駆け寄り、

 

What's your name? (お前の名は何だ!)

 

と質問、金森先生が My name is Kanamori. と答え、次にその生徒の名前を尋ねようと口を開きかけた瞬間、

 

My name is Taro!

 

と叫び、席に戻ってしまった…小学生に、目上の人に What's your name? は失礼なので、May I ask your name? だの May I have your name, please? と言った方が良いとまでは言わないが、これでは一方的に名前を尋ねるという行為だけをさせているに過ぎない。この生徒は相手の(ここでは金森先生)返答の内容を問わず、一方的に

 

What's your name?

My name is Taro!

 

だけを暗記し口走るのみで、そこにはコミュニケーションが成立していない。おそらく金森先生の名前さえも聴き取らず、覚えてもいないだろう。しかし少し工夫し、自分から先に名乗らせるように教えれば、相手の返答に耳を傾けるようになり、そこにコミュニケーションが生まれるはず。英語は話せば良いというものではない。コミュニケーションがとれて、はじめて会話がなりたつもの。

 

文科省も試行錯誤しながら進める小学校の英語教育。しかし一歩ずつ着実に『英語が話せる日本人の育成』は推進されているようです。

 

…その後?その後は金森先生とビヤホールで大宴会です。暑かったからビールが進むこと進むこと!

 

金森先生は【英語面白楽会、ニッポン】でも面白記事をご執筆いただいています!入会者続々!あなたもぜひ『正しく楽しく』英語を学びましょう♪

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