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- 英語の紛らわしい表現
最近はオマワリさんに代り、駐車監視員のおじさん達を随分と街で見かけるようになりました。そんな暑い中で頑張る駐車監視員のおじさん達を見ていて思いついた文章がコレ!
●田中さんは路上駐車を止めるよう命令された。
これってどういう状況なのか、おわかりですか?
もちろん
○田中さんが駐車監視員のおじさんに『駐車をするな!』と命令された。
ですよね。でもこんな「あまのじゃく」のような状況は考えられませんか?
○駐車監視員の田中さんは、警察から路上駐車をとめるよう命じられた…。
つまり警察が駐車監視員の田中さんに『路上駐車をさせないよう取り締まれ!』と、命令した…という状況です。日本語では『やめる』と『とめる』は両方とも【止める】と書きます。なので【止める】を『やめる』と読めば、路上駐車をしたのは田中さんの意味に、【止める】を『とめる』と読めば、駐車監視員の田中さんが命令を受けた意味にも取れそうです。ね?そうも取れるでしょ??(ちょっと強引?)
そんな引っかけ問題を考えていたら、イギリスの言語学者、David Crystal先生がこんな記事を書いていたのを思い出しました。クリスタル先生はイギリスを代表する言語学者です。
クリスタル先生の記事をちょっとご紹介しますね。※英文のみ Who Cares About English Usage?/Penguin Booksより引用
例えば…
● I only saw Fred, not Jim.
この文章、どんな意味に取れますか?
○私が見たのはフレッドだけで、ジムは見ていない。
まあ普通はこういう意味に理解します。では今度はどうでしょう?
● I only saw Fred.
文章が短く簡潔になっただけで、大きな変化は無いように思われます。しかし一部のイギリス人達はこの英文を間違いとして、正しい用法ではないと指摘しているというのです。なぜならこの文章では、
○ I only saw Fred---and not someone else. 私が見たのはフレッドだけで、他の人は見なかった。
○ I only saw Fred---I didn't speak to him. 私はフレッドを見ただけで、彼と話はしなかった。
と二つの意味に取れてしまうので、正しい用法ではないということのようです。鍵となっているのは only の位置ですね~。正しい用法ではない!と声を荒げる人々によれば、only を誤解を招かない場所に移動せよ!とのこと。つまり
● I saw only Fred. 私が見たのはフレッドだけ。
● I only saw Fred. 私はフレッドを見ただけ。
なるほどですね~。もっともといえばもっともな意見です。(同じような例が日本の辞書にも載っています。)
英語を母国語とするイギリス人でさえ、only の位置一つに、このような議論をしているのですね!しかしもっと印象的だったのは、記事にあったクリスタル先生の結論です。それは…
『onlyの位置なんてどっちでもいい!』 えっ! ( ̄○ ̄;)そこまで説明しておいて何を今更…
しかしクリスタル先生の結論は『前後の文脈で判断できる以上、そこまで神経質になる必要はない。』とのこと。つまり
● He only died last week. これを
『彼は先週、単に死んだだけだ。』と意味を誤解する人などいない以上、
● He died only last week.
という文章に直さなくても誤解は招かないだろうというものです。確かに、こちらもごもっともな意見です。もちろん英語が言葉である以上、このような用法や文法は、大切です。しかし英語母国人のイギリス人でさえも悩み、間違うほどの英語の用法や文法を、英語ネイティヴではない日本人の私たちは、必要以上に神経質に捉えすぎているのかもしれない。
…なんて思うのです。
通じりゃええやん!会話やし!
イギリス人さえも悩む小さな用法の間違いなんか気にする事なく、まずは“自分の意志を伝える力”を鍛えていきましょう。