英会話上達のコツ

2005/03/24
英語の通訳機になっちゃダメ!

今回も引き続き、「英語にまつわる日本における言説」のひとつを取り上げて検証してみたいと思います。

 

インターネットや交通機関の発展により、グローバル社会と騒がれるようになり「英語はできて当たり前」という言説の向こうをはる形で、最近こんな台詞もよく聞きます。

 

・英語ができる人間なんて腐るほどいるよ

・今更英語がちょっとくらいできてもねえ…

・英語なんてどうでもいい。これからは中国語だ!

 

モモスケの周りにも、好んでこのような発言をする人がいます。彼は一応英語とスペイン語が話せるのですが、モモスケが英語に仕事で関わっているのを知っていてわざと言っているのでは?と思うくらい「英語不要説」を声だかに主張しています。

 

 

彼はスペイン語とその文化を偏愛しており、ことある毎に、スペイン語という言語がいかに英語に比べて美しいかを語りたがります。こういうタイプの人は、ドコにでもいるので、モモスケはいつも適当に受け流していました。ひとつの国や文化を特権化したがる人は少なくありませんが、他国の文化を一概に卑下するような人には、真の意味での国際交流などできないとモモスケ考えています。

 

 

 

 

そんな彼の英語不要論のポイントは

 

・英語ができる人間はもう充分いる

・日常会話程度ができても仕方ない

・今後の世界の動向から、主要言語は英語ではなくなる

 

というものでした。

 

まず、最初の「英語ができる人間はもう充分いる」という点ですが、はたしてそうでしょうか?有名サイトの求人・転職サイトを開いてみればわかりますが、英語のできる人間を求める声は、まだまだあります。多くの大企業がTOEICスコアを昇進の条件に据えた事もまだ記憶に新しいです。もし本当に英語力のある人間が食傷気味なら、営利主義の語学スクールは別としても、ビジネスにおける英語力の需要は減少してしかるべきです。会社は何も「カッコいいから」とか「国際的な企業に見せたいから」といった表面的理由で社員を雇用するわけではありません。「英語力を必要とする仕事が存在し、その仕事ができる人間が足りない」以外にいかなる理由も存在しません。昔に比べれば英語を話せる人の数は増えてきているでしょう。ただし「ビジネスにおいて必要な英語力」をもった人間はまだ決して充分ではないのもまた事実のように思えます。

 

次の「ちょっとくらい英語ができても仕方ない」ですが、あなたもこのような台詞を得意げに吐く人に会ったことがあるかもしれません。不思議なもので、英語が堪能な人はあまりこういう事を言わない気がします。モモスケの個人的な経験からすると

 

・英語を毛嫌いしている人

・英語に対して何らかの挫折を経験した人

・マイナー嗜好を持つ人

 

にこういうことを言う人が多い気がします。語学を身につけるという経験は多かれ少なかれ、「この程度のレベルじゃ仕方ない」などというキャリア主義で図りきれぬ貴重な何かをあなたに残してくれるものです。

 

英語が話せてよかったなあ、って思う瞬間ってどんな時?

 

アメリカの大学を卒業した友人に以前こんな質問をした事があります。すると友人はこう答えてくれました。「海外に行くと、あちらの古本屋を探索するんだけど、本屋の主人から『その本、素晴らしいよね』とか声をかけられて、意気投合し、そのまま一緒にお酒を飲みに行ったことがある。その時何よりも英語が話せてよかったなあって思ったよ。」

 

 

彼はアメリカでも文学を専攻していて、小説や本が大好きなのです。そして世界中の同じ趣味を持つ人々と、愛する小説について語り合うことができる…。これが彼にとって何より素晴らしいことなのです。

 

英語が話せることによってキャリアアップしたのはあくまで、結果であり、副次的な要素だと思う、と彼はいつも言っていました。

 

それに面白いことに、「完全なビジネスツールとしての英語」を身につけた人って会話はできてもコミュニケーションがちゃんととれない人が多いんだと教えてくれました。

 

「《人間通訳機》になっちゃいけない!」

 

と、彼はいつも口癖のように言っています。モモスケはもちろん「英語をキャリアの道具にするな」などと言っているのではありません。ただ、キャリアのためだけに、始めたとしても、それは結果的に本来の目的以上の、豊で貴重な体験をさせてくれるということ。その事を知らない、または感じ取れない人の発言にあまり敏感になる必要はないよ、と皆さんにお伝えしたいのです。

 

今回はモモスケの英語への愛着のせいか?予想以上にマジメな固めの文章になってしまいました。

次回はもう少し、楽しいお話をしたいと思います。

次は「アメリカでのルールとマナー」

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