英語を話す100のヒント

2012/11/19
英語上達のバロメーター
  • 応用言語学博士
  • 宮崎公立大学
戸高裕一教授

間違えない人はいない

大学で英語を教えていて痛感するのは、間違いをすることに対する極端なほどの過剰反応です。

 

自分が日本語を習得していった過程を少し思い出してみてください。一度も文法ミスをせずに、日本語を習得した日本人がいるでしょうか。勿論、母語習得と外国語学習には違いはありますが、語学学習の過程で間違って当たり前という常識が、なぜか英語学習では、全く忘れ去られているようです。

 

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私はアメリカの大学を卒業し、帰国後、英会話学校で英語を2年間ほど教えました。その経験から英語教授法の重要性に気付き、アメリカの大学院に進学しましたが、その間に、日本語を教える機会にも恵まれました。私がクラスを担当して驚いたことは、毎回の質問の嵐でした。アメリカ人の学生達は間違いなど全く気にせず(間違って当たり前という前提で)、積極的に会話練習に参加し、1年後には日本語の日常会話ができるまでに上達していきました。

 

 

通じないのは才能が無いから?

日本の場合のように、些細なミスも、その都度指摘・訂正され、間違うことがあたかも罪悪であるかのように教育されてきた学生達が、英語を話せないのは当然です。しかし、はたして間違いをせずに言葉が学習できるのでしょうか。

 

例えば、自分の意見を英語で述べても、なかなか相手が理解してくれないといった経験をされた人は多いのではないでしょうか。私も実はその中の一人で、何度言っても通じないという経験を数多くしてきました。


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初めの頃は、私には英語の才能がないのだと悲観的になったこともありました。しかし、そのうちにどうして通じなかったのか考えるようになり、いろいろ試行錯誤しながら、徐々に通じるようになってきました。今では、間違う度に、また一つ新しい表現法を学べるのだと考えるようになり、少しずつではありますが、上達してきているのだと思えるようになってきました。

 

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日本の大学生を見ていますと、2、3回通じないとすぐ諦めてしまうことが多いようです。でも、そこで諦めるか、また一つ新しいことが発見できたと肯定的に受け止めるかによって、数年後のその人の英語運用能力は大きく変わってきます。

 

実際に、今まで教えてきた学生の中にも、すばらしい英語が話せるようになった学生もいます。それらの学生に共通して言えることは、間違いを気にせず、前向きに楽しく学習しているということです。

 

戸高 裕一
応用言語学博士 宮崎公立大学教授
1993年カリフォルニア大学大学院応用言語学博士課程終了
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