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- アメリカンジョークで異文化を知る
今回は英語圏でのユーモアや笑いについてお話ししようと思います。
一般にジョークやユーモアというものは、国境を越えて伝えるのがとても難しいと言われます。もちろん主とする言語が異なりますから、当然そこには言葉の壁があるのですが、それ以上に【文化】の違いというものが大きく関わってきます。
アメリカ映画を見ていて笑い出す英語ネイティヴ!セリフが聴き取れず、あとから教えてもらったとしても、一体何が面白いやら皆目検討がつかないケースも多々あります。
たとえば…
【アメリカンジョークその1】
ある男が夕方家に帰ると、庭にある納屋に泥棒が忍び込もうとしていました。驚いた男は、急いで家から警察に電話をかけます。「泥棒がうちの納屋に忍び込もうとしてるんです!すぐ来てください!」しかし、電話の向こうの警察官は面倒臭そうにこう答えます。
「納屋に泥棒か…そうだな、今こちらもちょっと忙しくてな…1時間後くらいになってしまうかもしれない…。」
「1時間!そんな待ってたら奴は何もかも持って行ってしまいますよ!今すぐ来てください!」
「とにかく、家に入ってちゃんと鍵をかけて、大人しくしていることだ。できるだけ早く行くようにはする!」
警官はそう言って電話を切ってしまいました。男はしばらく考え、再び電話をかけなおします。
「さっき電話したものですが、もう来てくれなくて結構ですよ!」
「そうか、それはよかった。泥棒は逃げたんだね?」
「いいえ」男は言いました。
「銃で撃ち殺しました。」
すると5分も経たずして、男の家の周りは何台ものパトカーと十人近い警官で囲まれていたそうです。
…どうでしょうか?
分からなくもないのですが、日本人なら大笑いする内容でもありません。ジョークを解説するのは、愚の骨頂ともいえる行為なのですが、ここにはアメリカらしさが出ているので、あえて補足します。
本来なら110番して、「1時間後に行く」なんて、あり得ない話です。ただし、この警官は納屋泥棒なんて大した事件ではないし、面倒だから適当に男をあしらっているという訳です。来ようと思えばすぐ来れるのに、小さい事件だからとさぼろうとする警官。ここに日本とアメリカにおける警察官に対する見方の格差があります。日本の警察は現場レベルでは迅速な印象がありますが、アメリカではちょっと事情が違うようです。
同じように警官を揶揄したジョークにこんなのもあります。
【アメリカンジョークその2】
ある男が、深夜のドーナツ屋に強盗に入った。レジ係に銃を突きつけて、現金を要求したが、レジの男は脅える様子もみせず、客先の方を黙って指を差す。泥棒が振り返ると、そこには10人以上の警官がいて、全員が銃口を男に向けて構えていた。
日本人には、何がジョークでどこが面白いのかわからないと思います。モモスケも最初は理解不能でした。再び解説すると、アメリカ人が警官を馬鹿にする時の言い回しに「あいつら、高い給料もらってるくせに、ドーナツばかり食べやがって!」というのがあります。深夜のパトロール中にさぼって抜け出した警官が、ドーナツ屋で暇つぶしをすることが多いことから、このような悪口が生まれたそうです。
このようにジョークや笑いは、言葉の理解だけではなく、その国の文化そのものがわかっていないと、伝わらないケースが非常に多いようです。けれども逆に言えば、「その国らしさ」が最も反映されるのもジョークの良さと言えるので、英語ジョークを理解することは、その国の文化を知ることにもつながります。まさに異文化理解ですね。